和泉大学

作業療法学専攻

OCCUPATIONALTHERAPY

作業療法士の「人数」は足りない?【供給過多の心配無用!】需要が増え続ける専門職の未来

作業療法士を目指すうえで、気になるのが
「人数は足りているのか」
「将来、仕事に困らないのか」
という点ではないでしょうか。

医療やリハビリの専門職は多く存在するため、供給過多にならないか不安を感じる人も少なくありません。

この記事では、作業療法士の人数の実態と需要の関係を整理しながら、将来性をわかりやすく解説していきます。

作業療法士の人数はどれくらい?

複数人の男性や女性のシルエット

作業療法士の将来性を考えるうえで、まず押さえておきたいのが「現在どれくらいの人数がいるのか」という基本的な事実。

人数が多すぎれば就職競争が激しくなりますし、
逆に少なすぎれば現場に大きな負担がかかります。

ここでは、国家資格としての有資格者数と、実際に現場で働く作業療法士の人数について、公的・業界団体のデータをもとに整理していきます。

数字を正しく知ることで、漠然とした不安ではなく、根拠ある判断ができるようになります。

有資格者数の推移

厚生労働省の職業情報提供サイトによると、作業療法士の国家試験合格者数は年間およそ5,000人(2024年3月時点) で推移しています。

出典:job tag(厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET))作業療法士(OT)

毎年一定数の新しい作業療法士が誕生していることから、「将来人数が増えすぎるのでは」と感じる人もいるかもしれません。

ただし重要なのは、資格を持っている人全員がフルタイムで働き続けているわけではない、という点。
結婚や出産、介護などのライフイベントをきっかけに一時的に現場を離れたり、非常勤として働いたりする人も多く見られます。

つまり、「有資格者数の増加=現場が飽和している」とは単純には言えないのですね。

作業療法士の実際の人数

日本作業療法士協会の統計資料によると、
2023年度の協会会員数は63,934人です。

このデータは、全国で働くすべての作業療法士を対象にしたものではなく、あくまで「協会に所属している会員」を母数とした統計である点を押さえておく必要があります。
そのため、実際の現場構成とは若干の差がある可能性があります。

作業療法士協会 会員数 男女比
男性 24,859人(39.2%)
女性 38,493人(60.8%)
合計 63,352人(100.0%)

※全国総数ではなく協会会員データのため、実際の現場構成とは若干異なる可能性があります。
出典:2024 年度日本作業療法士協会会員統計資料(日本作業療法士協会誌 第162号 2025年9月15日発行)より 加工して使用

また、主業務別に見ると、臨床分野が約95% を占めており、多くの作業療法士が医療・リハビリの現場で直接利用者を支えています。
一方で、養成教育や行政、研究分野など、多様なフィールドで活躍する人も一定数存在します。

作業療法士の需要とは

作業療法士を目指す学生が実習をしているイメージ

人数の話だけを見ると、
「作業療法士は増えているみたいだけど、将来は仕事が減ってしまうのでは?」
と感じるかもしれません。

しかし、社会全体の変化に目を向けると、作業療法士が必要とされる理由は、はっきりしてきます。
いま医療や福祉の現場では、「病気を治すこと」だけでなく、「その人が安心して日常生活を送れるように支えること」が強く求められています。

病院の中だけで完結する医療から、地域や自宅での生活を支える医療へ。

こうした流れの中で、生活に近い視点を持つ作業療法士の役割は、ますます広がっているのです。

高齢化社会とリハビリの重要性

日本は、世界でもトップクラスのスピードで高齢化が進んでいます。

内閣府の「令和7年版高齢社会白書」によると
令和6年時点の高齢者(65歳以上)は、3,624万人。
総人口のうち29.3%と、過去最高を更新。
今後も高齢化が進み、2040年には高齢化率が約34.8%、2070年には約38.7%に達すると見込まれています。

出典:内閣府 令和7年版高齢社会白書 第1章 高齢化の状況

高齢者が増えるということは、それだけリハビリや生活支援を必要とする人が増えるということでもあります。

例えば

  • 脳卒中の後、もう一度家事ができるようになりたい
  • 認知症があっても、できるだけ自宅で暮らし続けたい
  • ケガや病気のあと、仕事や学校に復帰したい

こうした「生活を取り戻したい」という思いに寄り添い、支えるのが作業療法士の仕事。

身体を動かせるようにするだけではなく、
「その人らしい生活をどう取り戻すか」
「何ができれば安心して暮らせるのか」
を一緒に考える専門職だからこそ、これからの社会に欠かせない存在になっています。

活躍の場は病院だけではない

作業療法士の活躍の場は、病院やリハビリ施設だけではありません。

近年は、

  • 地域包括支援センター
  • 自宅を訪問する在宅リハビリ
  • 福祉施設や行政の現場
  • 小学校や中学校

など、人の暮らしにより近い場所へと広がっています。

特に地域や在宅の分野では、「リハビリの専門職が足りていない」という声も。
病院を退院したあとも、その人が安心して生活を続けられるように支える人材が求められているためです。

こうした現場では、医学的な知識に加えて、介護職や看護師、ケアマネジャーなどのさまざまな職種と協力する力も必要になります。
そのため、専門的な教育を受けた作業療法士のニーズは、今後も高まり続けると考えられています。

供給過多の心配は本当にない?

国家試験の合格者は毎年一定数いますが、需要の伸びに対して、人材が十分とは言い切れないのが現状です。
さまざまな分野で「作業療法士が足りない」という声が少なくありません。

また、作業療法士は、一度現場を離れても復職しやすい職業でもあります。

ライフステージに合わせて、

  • 非常勤で働く
  • 勤務時間を調整する
  • 分野を変えて活躍する

といった柔軟な働き方ができる点も特徴です。

これらを踏まえると、「人数が増えているから将来が不安」というよりも、社会のニーズに合わせて、長く必要とされ続ける専門職だと言えるでしょう。

まとめ

作業療法士を目指す学生たちの姿

作業療法士の人数について見てきましたが、単に「増えている・減っている」という数字だけでは、この仕事の将来性は判断できません

国家資格を取得する人は毎年いますが、その一方で、高齢化の進行や医療・福祉の形の変化によって、作業療法士が必要とされる場面は確実に増えています。

病院でのリハビリだけでなく、退院後の生活を支える在宅分野や、地域全体を支える福祉の現場など、活躍のフィールドは広がり続けています。
「人の生活に寄り添う専門職」として、作業療法士はこれからの社会に欠かせない存在だと言えるでしょう。

進路を考えるうえで大切なのは、
「人数が多いか少ないか」ではなく、どんな力を身につけ、どんな作業療法士になりたいか。

そのためには、知識だけでなく、実践力や現場での経験をしっかり積める環境を選ぶことが重要になります。

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