大阪河﨑リハビリテーション大学 大学院

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2025.04.21

理学療法学専攻の佐伯純弥先生の研究論文が、国際的な学術雑誌「Journal of Biomechanics」に掲載されました。

研究内容

  • タイトル:Immediate effects of two types of self-stretching on flexor digitorum longus and tibialis posterior muscle stiffness
  • 掲載誌:Journal of Biomechanics
  • DOI:10.1016/j.jbiomech.2025.112704

1. 研究成果のポイント

  • これまで、長趾屈筋に対するセルフストレッチングとして、対象自らの上肢の力のみで行うセルフストレッチング(conventional self-stretching)が行われていた。
  • 長趾屈筋と後脛骨筋に対して、対象自らの上肢の力のみで行うセルフストレッチングと、対象の体重移動を用いて行うセルフストレッチング(weight-bearing stretching)の即時効果を比較検討した。
  • conventional self-stretching の介入後には長趾屈筋の硬さは低下しなかった。
  • weight-bearing stretching の介入後に長趾屈筋の硬さが低下した。
  • 後脛骨筋の硬さはいずれの介入による変化も認められなかった。
  • 長趾屈筋に対して即時効果が得られた weight-bearing stretching は、Medial Tibial Stress Syndrome 等、長趾屈筋の硬さが関連する疾患の予防のための介入方法として有用である可能性がある。
  • 2. 内容紹介

    本研究では、長趾屈筋と後脛骨筋に対して、対象自らの上肢の力のみで行うセルフストレッチング(conventional self-stretching)と対象の体重移動を用いて行うセルフストレッチング(weight-bearing stretching)の即時効果を比較検討しました。
    conventional self-stretching、weight-bearing stretching、もしくは対照施行のいずれかの介入を異なる日に実施し、介入前後に筋硬度の指標として、介入前後に筋硬度の指標として、せん断波エラストグラフィを用いて長趾屈筋および後脛骨筋の弾性率を測定しました。
    その結果、weight-bearing stretching 介入後の長趾屈筋の弾性率は、介入前およびコントロール試行の同じタイミングよりも有意に低値を示し、対照試行および conventional self-stretching では介入前後で長趾屈筋の弾性率に有意差が認められませんでした。後脛骨筋の弾性率はいずれの介入による変化も認められませんでした。

    これらの結果から、対象自らの上肢の力のみで行うセルフストレッチングでは長趾屈筋の硬さに対する介入効果は得られないが、対象の体重移動を用いて行うセルフストレッチングでは、長趾屈筋に対するストレッチングの即時効果が得られることが明らかとなりました。
    本研究において、長趾屈筋に対して即時効果が得られた weight-bearing stretching は、Medial Tibial Stress Syndrome 等、長趾屈筋の硬さが関連する疾患の予防のための介入方法として有用である可能性があります。